茗荷谷通信

株式会社システム科学の最寄り駅である地下鉄茗荷谷駅。 このコーナーでは、弊社に訪れた際にふらりと立ち寄れる茗荷谷周辺の見どころや歳時記をご紹介しています。


第12回 茗荷谷通信「先憂後楽」

昨今の新型コロナウイルスの影響で、学校が休校となり、イベントも開催中止が相次いでいますね…。せっかく3月に入ったというのに、何だか休日も気が滅入ってしまいます…が、そんな人間の都合など全く関係なく、季節は刻々と移り変わり、街は春めいてきております。 そこで、ちょっと気分が落ち込んでいる皆さん、こんな時こそ、広い庭園に出て心地よい風を感じて春の気配を満喫してみませんか。

今回ご紹介するのは、ウィルス危機で自粛ムードの中でも開園している小石川後楽園です。 弊社の最寄り駅である茗荷谷駅から丸の内線で一駅、後楽園駅のそばにあります。

小石川後楽園は江戸時代の寛永6年、水戸徳川家の中屋敷の庭園として造られました。 庭園は池を中心にした『回遊式築山泉水庭園』、庭園内を歩き回って様々な角度から人の手で作った山や池を楽しむ形式となっています。中国の儒学者の意見を取り入れているため、中国の名所や地名をつけた景観が各所にあるのが特徴ですね。

そして、この季節と言えば「桜」です! 園内のシダレザクラは例年より一週間早く開花し、まさに今が見ごろ。中でも小石川後楽園を代表するシダレザクラ「馬場桜」は何と樹齢75年! 長い長い時間を経て、私たちの心を癒してくれているのですね(サクラの開花状況は小石川後楽園のホームページ、及びツイッターなどでお確かめください)。

ところで、「後楽園」という名前ですが、東京ドームの最寄駅であるため知名度の高い名前ではないかと思いますが、その由来はご存じでしょうか? 先ほど書いた通り、この庭園は中国の影響を強く受けており、名前の由来も中国(北宋)の政治家范仲淹が記した『岳陽楼記』の 「天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」という言葉から来ています。 これは、政治家が持つべき心構えを説いたもので、意味としては、
"世の中の人に先立って天下国家のことを心配し、人々が楽しんだ後に楽しむ "、
こんな感じでしょうか。 そして、この言葉を簡潔に略したのが「先憂後楽」。 これは政治家に限らず、誰かの上に立つ人に必要な心構えなのかもしれません。深いですね~。 天下の水戸徳川家といえども、この意味を噛みしめ自分の庭園の名前にしたほどのこの重い言葉…。 明日からの三連休、桜をみながら広い庭園をゆっくりと回りつつ、「先憂後楽」について思いを馳せるのもいいかも知れません。

春はもうそこまで来ています(外出時は新型コロナウイルス感染に十分にご注意ください。人が密集し尚且つ換気の悪い場所への外出は極力避けてください。お出かけの際にはマスクを着用し、手洗い、うがいを習慣付けましょう)。

2020年3月19日